PBXの法定耐用年数・リスク・会計処理を解説!クラウドPBXへの移行と選び方

オフィスの電話システムに欠かせないPBX(構内交換機)ですが、「PBXが古くなったけど、いつ交換すべき?」「減価償却はどうなる?」といった疑問を抱えている担当者の方は多いのではないでしょうか。

PBXには法律で定められた法定耐用年数があり、それを超えて使い続けると、業務に致命的な影響を与えるリスクがあります。

本記事では、PBXの法定耐用年数会計処理の基礎知識を解説するとともに、老朽化リスクを解消し、保守コストを最適化する「クラウドPBX」への移行方法と選び方を徹底的にご紹介します。

1. PBXとは?(役割と種類)

PBX(Private Branch eXchange)とは、オフィスにかかってくる外線電話を各内線電話機へ振り分けたり、内線同士の通話を可能にしたりする電話交換機のことです。企業の通信インフラの中枢を担っています。

1.1. オンプレミス型PBXとクラウドPBXの違い

オンプレミス型PBXとクラウドPBXには、設置形態や特徴に次のような違いがあります。
種類設置形態特徴
オンプレミス型PBX企業内に専用の機器を設置高度なカスタマイズが可能。初期費用や法定耐用年数、物理的なメンテナンスを考慮する必要がある。
クラウドPBXインターネット経由で提供されるサービス(PBX機能はクラウドサーバー上)機器の設置が不要。インターネット環境があれば、場所やデバイスを問わず内線が利用できる。

2. PBXの法定耐用年数は6年!減価償却の基礎知識

PBXのイメージ

PBXは企業が事業のために使用する固定資産にあたるため、国税庁が定める法定耐用年数に基づいて減価償却の処理を行う必要があります。

2.1. 法定耐用年数6年の根拠と減価償却の考え方

PBXは、国税庁が定める「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の「電話設備その他の通信機器」に分類され、その法定耐用年数は6年と定められています。

この年数は、機器の取得費用を6年間で経費として計上するための税法上のルール(減価償却)であり、PBXが物理的に使える年数を示すものではありません。しかし、多くの企業がこの6年を買い替えやリプレイスの目安としています。(出典:国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表

2.2. クラウドPBXは月々のランニングコストとなり耐用年数の対象外

クラウドPBXは物理的な機器ではなく、インターネット経由で機能を利用するサービス(SaaS)です。このため、原則としてクラウドPBXの費用は、機器のような「固定資産」としては扱われず、月額料金やサービス利用料は「通信費」や「支払手数料」として費用(ランニングコスト)処理されます。

しかし、注意すべきは初期費用です。初期導入時の設定費用や複雑なカスタマイズ費用は、その効果が1年以上にわたって長期間及ぶと判断される場合、一時的に「繰延資産(くりのべしさん)」として資産計上となる場合があります。

繰延資産となりやすい費用の具体例

繰延資産とは、多額の初期支出が将来の複数年度にわたって事業に貢献すると見なされる費用のことです。クラウドPBXにおいては、以下のような費用が該当する可能性があります。

  • 高額な初期設定・カスタマイズ費用
    サービスの利用開始に不可欠な複雑な内線設計、大規模なアカウント設定、既存のCRM/SFAなどと連携させるための高度な設定・開発費用など。
  • 宅内ネットワーク工事費
    クラウドPBXの利用を前提とした大規模なネットワーク改善や配線工事費
  • 長期契約に関する初期対価
    数年分のサービス利用料を一括で前払いした場合の、その対価。

これらの費用が「全額経費になるのか」「分割償却になるのか」は、契約内容や金額の多寡によって異なります。正確な会計処理については、必ず顧問税理士にご確認ください。

2.3. 経営視点のメリット:固定資産を持たないことの合理性

クラウドPBXを選択する最大の経営メリットは、多額の固定資産(設備)を持たずに済む点にあります。

  • キャッシュフローの安定
    数十万円から数百万円単位の初期設備投資が不要になり、費用の平準化が図れます。これにより、資金繰りが安定し、突発的な大規模な設備更新リスクから解放されます。
  • 経営指標の改善
    固定資産を持つ必要がないため、総資産が圧縮され、ROA(総資産利益率)などの経営効率を示す指標が改善します。これは、企業価値をアピールする上で有利に働く、重要な経営戦略の一つです。
  • ビジネスの柔軟性・リスク対応力の向上
    物理的な設備を持たないことは、環境変化に対する即応性を高めます。予期せぬ災害時やパンデミック時にも、電話システムを止めずに事業を継続できます。

3. 法定耐用年数を過ぎたPBXを使い続ける3つの大きなリスク

3つのリスクの存在を明示

法定耐用年数である6年を経過した後もPBXを使い続けることは、以下のような具体的なリスクを企業にもたらします。

3-1. リスク1: ある日突然「電話が不通」に(故障とサポート終了リスク)

古いPBXは、経年劣化により故障リスクが急激に高まります。この現象は、機器の寿命を示す「バスタブ曲線」(出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト)で説明されます。

機器の故障率は、初期の不安定な期間を過ぎると安定しますが、法定耐用年数である6年を目安に摩耗故障期に入り、故障率が経時的に高まる可能性があります。 この時期は、部品の劣化が進み、いつ故障してもおかしくないリスクが高い状態です。さらに、メーカーがその機種の部品製造や修理サポートを終了(保守切れ)することで、万が一の故障時には修理ができず、電話システムが停止し、事業継続に致命的な影響を及ぼす可能性があります。

3-2. リスク2: 使い続けるほどコストが増大(保守費・電気代の高騰)

サポートが終了したPBXのメンテナンスは、代替部品の確保や専門技術者の少なさから、予期せぬ高額な出費につながりやすくなります。また、部品の取り寄せ期間が通常よりも大幅に長期化するリスクも高まります。結果として、従来の保守契約費用と比較してコストが大幅に上昇する可能性があり、電話システムが停止する期間も長期化しかねません。

また、旧式のオンプレミス型PBXは、一般的に最新のシステムと比べて消費電力が大きい傾向があるため、電気料金の増加という継続的なコスト増も避けられません。

3-3. リスク3: テレワークやハイブリッドワークに対応できず「経営のボトルネック」に

オンプレミス型PBXは、オフィス内に機器があることを前提として設計されています。そのため、テレワークやハイブリッドワークといった多様な働き方に柔軟に対応できず、社員の生産性向上やBCP(事業継続計画)の観点からも大きなボトルネックとなります。

4. 耐用年数超過後の乗り換えはクラウドPBXが最適解

クラウドPBXの利用によりリスクが回避できたイメージ

PBXが法定耐用年数を迎えた際の対策として、クラウドPBXへの移行は、リスクを回避し、経営を合理化する最もスマートな選択肢です。

4-1. 初期工事が不要でコストを大幅削減できる

クラウドPBXは、物理的な機器の設置や電話回線工事が不要なため、初期導入にかかる費用(イニシャルコスト)や工期を大幅に削減できます。これにより、従来のPBXリプレイスと比較して初期投資コストを約1/3〜1/5に抑えられるケースが多くあります。

削減できる費用の決定的な違い

IP-PBXなどのオンプレミス型PBXも、端末への配線にLANケーブルを利用しますが、コストの決定的な違いは「主装置周りの専門工事」の有無にあります。

  • PBX主装置の購入費と設置工事費
    クラウドPBXは本体機器が不要なため、高額な主装置(ハードウェア)の購入費、および設置場所の確保、電源、耐震工事などが丸ごと不要になります。
  • 高度な専門設定工事費
    従来のPBXでは、主装置内部の高度な電話網設定など、専門資格を持つ技術者による現地での複雑な工事が必須でした。クラウドPBXでは、これらの設定の多くがWebブラウザ経由のリモート作業で完結するため、現地での工期と人件費が大幅に削減されます。

このように、端末までの配線が同じであっても、「専用設備とそれに伴う専門工事」が不要になる構造こそが、クラウドPBXの最大のコスト優位性です。

4-2. 耐用年数を気にせず常に最新機能を利用できる

クラウドPBXはサービスであるため、法定耐用年数を気にする必要がありません。機能のアップデートや保守管理はすべてベンダー側が行うため、ユーザーは手間なく常に最新のPBX機能や強固なセキュリティを享受できます。

4-3. 当社の導入事例:オフィス維持費70%削減の鍵

クラウドPBXは、コスト最適化に留まらず、具体的な業務効率化を実現し、企業価値向上に貢献します。

当社の実証事例:オフィス維持費70%削減

  • 弊社では、オフィスリニューアルに伴いクラウドPBXを導入し、全社的なテレワーク・ハイブリッドワーク体制を構築しました。その結果、オフィスにかかる固定費をリニューアル前の約70%も削減することに成功しました(ニュースリリースへリンク)。
  • この大幅な削減は、高額なPBX機器の保守費用が不要になったことに加え、クラウドPBXによる「電話対応場所の自由化」が鍵となり、オフィスの床面積を最小限に抑えるという判断が可能になったためです。

このように、クラウドPBXは単なる通話システムのリプレイス費用削減に留まらず、オフィス家賃やインフラ費用といった固定費全体を削減する、経営戦略上の重要なツールとして機能します。

5. 失敗しないクラウドPBXの選び方と検討ポイント

クラウドPBX導入を失敗しないためのポイント

クラウドPBXを選ぶ際は、以下の検討ポイントを参考に、自社の課題解決に最も適したサービスを選びましょう。

5-1. 機能性、操作性、セキュリティの比較

  • 機能性
    録音機能、IVR(自動音声応答)スマートフォンを用いた通話機能、パンデミック(テレワーク)対応機能など、自社に必要な機能が揃っているか。
  • 操作性
    管理画面やスマートフォンアプリが直感的で使いやすいか、マニュアルが充実しているか。
  • セキュリティ
    通信の暗号化やデータセンターのセキュリティレベルが企業の基準を満たしているか。

5-2. サポート体制と費用(ランニングコスト)

  • サポート体制
    導入時だけでなく、運用開始後のトラブル対応や設定変更サポートが迅速かつ充実しているか。
  • 費用(ランニングコスト)
    初期費用の安さだけでなく、月額基本料、内線数、外線通話料、オプション機能など、総額でいくらになるかを正確に比較検討しましょう。

6. まとめ:法定耐用年数を機に最適なビジネス環境へ

PBXの法定耐用年数6年は、貴社の通信インフラが老朽化による故障やコスト高騰のリスクに晒されているという明確なサインです。

この法定耐用年数を一つの節目として捉え、クラウドPBXへの移行を検討することは、従来の保守コストから脱却し、現代の多様な働き方に対応する最適なビジネス環境を手に入れるための、最も合理的かつ戦略的な経営判断となります。

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